結婚式の二次会で泥酔幹事がビンゴで無茶ぶり
二次会幹事代行友人 失敗体験談

10年付き合った彼女と結婚することになったのはちょうど秋のことでした。
友人の結婚式に何度か出席していたので、あの感動を自分たちも味わえるんだな、と思うと緊張よりも楽しみが大きくなっていきました。
しかし、式の段取りや引き出物の準備など自分が思っていた以上にやることが多く、仕事から帰ってきて彼女と話し合い、休日も式場で担当者と打ち合わせの日々で、今思うと疲れがでていたように思います。
そんな時、二次会の幹事を誰に頼むかという話になったのです。
式のことばかりを考えていて、二次会の存在をすっかり忘れていました。
私と彼女は大学時代からの付き合いだったので、私の友人にも何度か会ったことがありました。明るく陽気で有名だった男性の友人の名前をあげると、その人にお願いしてはどうかという話になりました。
彼は、他の友人の結婚式や二次会にもよく出席しているので幹事の経験も豊富だろうし、きっと盛り上げてくれるだろうと簡単に判断してしまったのです。
友人にお願いすると、快く承諾してくれました。
場所を予約したり、手伝ってくれる人材の確保などテキパキとこなしてくれるので、何の心配もありませんでした。
そして、ほぼまかせっきりで当日まできたのです。
当日、結婚式と披露宴が順調に進み私は感無量でした。
奥さんとなった彼女が隣で一緒に笑ってくれていることに、今まで感じたことのない幸せを感じ、本当にこの人と結婚してよかったなと涙が抑えきれませんでした。
参加者の方に「素敵だったよ。」と声をかけてもらえてこともすごく心に残っています。
きっと二次会でも楽しい思い出を作れるだろうと期待しながら会場に向かいました。
そして着席した時に、違和感を覚えたのです。
会場の大きさと人数が明らかにあっておらず、立ったままの人が何人もいるのです。
一瞬、何かが私の脳裏によぎりましたが、予定以上の人が私たちを祝福しに足を運んでくれているんだとポジティブにとらえることにしました。
しかし、そのあとも料理が少ない、飲み物がこないなどと参加者からの声がきこえてくるようになったのです。
いてもたってもいられず友人に声をかけると「ここのスタッフの対応が遅いだけだから心配するな。」の一言でした。
かなり酔っぱらっているようで、そのあとはあまり会話が続きませんでした。
不安な気持ちを抱きながらすごしていましたが、古くからの友人たちが作ってくれたスライドショーなどが映し出されると懐かしい気持ちになりまた笑顔になることができました。
そのあとビンゴが行われたのですが、ここからが本当に悪夢でした。
友人が司会をしているのですが、泥酔状態の為何を言っているのかわからない状態でした。
それでも何とか周りがフォローしてくれたかいがあり、一人目の当選者の発表となったのですが、その景品がバラエティグッズでした。
具体的にいうと芸人さんの簡単なコスチュームが入っていてそれを使って一発芸をさせるというものでした。
ひとつくらいならまだわかります。
しかし、その後の景品も同じような類のものばかりでてくるのです。
受け取った方もどんな反応をしたらよいのか困っていました。
本人はウケ狙いのつもりだったのでしょうが、完全にしらけていました。
受け取りたくない女性は途中からビンゴに参加しなくなりました。
楽しそうなのは幹事の友人だけで、当たった人たちをからかっては満足そうにしていました。
目玉の景品さえも数千円の商品券で場の空気が凍り付いていくのを感じました。
明らかに会費をぼったくっていると誰もが思ったと思います。
私は隣にいる奥さんの顔が怖くて見られませんでした。
結婚式でまさか幸せ以外の涙をながすことになるとは思ってもみませんでした。
秋の冷たい夜風に吹かれながら帰る道は真冬のようでした。